使いこなしてこそ英語上級者!“might” “could” “would” の使い方をおさらいしよう
“might” “could” “would”。この3つの助詞にこんなイメージを持っていませんか?
「いまいち使い方が分からない……」
「なんだか難しそう……」
「無理して使わなくても言いたいことは伝わるのでは……?」
でも、実はこれらの助詞はネイティブが会話でとってもよく使う単語でもあるんです。
使いこなせると微妙なニュアンスまでうまく表現でき、何よりも、シンプルになりがちな表現の幅がグンと広がります。
これら3つの助詞はそれぞれたくさんの意味を持っていますが、今回は、その中から特に会話で役立ちそうなものに絞って使い方を紹介したいと思います!
1. “might” は「かもしれない」

まず最初に “might" を見てみましょう。
“might” は 、「かもしれない」という意味の “may” の過去形だと覚えている人はいませんか? もしかすると、それの覚え方が “might” をわかりにくくさせている原因かもしれません。
“might” の使い方
実は “might” が “may” の過去形として使われるのは限られた場合だけ。「推量」の意味を表すことは変わりませんが、会話ではむしろ、現在や未来のことを話すときに登場します。
例えば、こんな2つの文章があります。
- He will come to the party.
「彼はパーティーに来ます」 - He might come to the party.
「彼はパーティーに来るかもしれない」
上の “will” を使った文章は「彼が来る」ことに確信をもっていますが、下の “might” を使った文章では、それがあやふやな感じになります。
見た感じは “may” の過去形のように見える “might” ですが、決して過去の話をしているわけではありませんよね。
「〜かもしれない」には “may” の派生形である“maybe” を多用してしまいがちですが、会話では、この “might” がとってもよく使われるんです。
《用例》
- I might go to Russia this summer.
「私はこの夏ロシアに行くかもしれない」 - He might be able to help you.
「彼が君の助けになれるかもしれない」 - I might be a little late for the meeting.
「会議に少し遅れるかもしれない」 - I'm not sure but it might be true.
「よくわからないけど、それは本当かもしれない」
“may” と “might” の違いは「可能性」の高さ
どちらも「〜かもしれない」を表す “may” と “might”。ここで、2つの違いをもう少しみてみましょう。
両者の違いは、ズバリ、可能性の高さの度合い。
may > might
“might” は “may” よりも可能性が低い「〜かもしれない」に使われます。
1. He may come to the party.
「彼はパーティーにくるかもしれない」2. He might come to the party.
「彼はパーティーにくるかもしれない」
1と2はどちらも同じ日本語訳ですが、英語では、“might” を使った2の文章のほうが可能性がより低くなります。
「〜かもしれない」の過去は “might have + 過去分詞”
“might” が現在や未来の推量を表すとなると、過去の可能性「〜だったかもしれない」はどう表現すればいいでしょうか?
そんなときには、“might have + 過去分詞” で表すことができます。
《用例》
- I might have left my sunglasses at the cafe.
「私はカフェにサングラスを忘れてきたかもしれない」 - The letter might have arrived last week.
「その手紙は先週来ていたかもしれない」 - John might have gone home.
「ジョンは家に帰ってしまったかもしれません」 - I might have won a million dollars if I had bought a lottery ticket.
「もし宝くじを買っていたら100万ドル当たっていたかもしれない」
2. “could” は「〜できた(過去の一般的な能力)」

次は “could” です。
“could” も “can” の過去形として「〜できた」の意味合いで使っている人がいるのではないでしょうか?
例文で使い方をチェック
例えば、あなたが Johnさんを探していて見つけたとしましょう。しばらくして、同僚が「Johnさん見つかった?」と聞いてきたので、「見つけることができたよ」と答えるとします。
その場合、以下のどちらが正しいと思いますか?
A. I could find him.
B. I was able to find him.
実は、このシチュエーションでAのように “could” を使うことはできません。その理由は、“could” が表す「〜できた」は過去の一般的な能力を表す場合がほとんどだからです。例えば、こういったものです。
- I could eat 3 Big Macs easily when I was young.
「若いときはビッグマックを余裕で3つ食べることができた(食べる能力)」 - My son could walk when he was less than a year old.
「私の息子は1歳にならないうちに歩くことができた(歩く能力)」
よって、一般的な能力ではない「見つけることができた」や言ったそのとき限りの「〜できた」には “was able to” を使ったり、苦労した末に「できた」というニュアンスを持たせたい場合には “managed to” もよく使われます。
それでは、実際に会話で役立つ “could” の使い方を見てみましょう。
会話中の “could” は現在や未来を表す
実際に会話の中で使われる “could” が過去のことを表すケースはとても限られており、“could” も “might” と同じように、現在や未来のことを話す場合によく使われます。
その場合、大きく分けて3つの使い方があります。
2. 控えめに提案する場合
3. ものの例えを表す場合
1. 可能性を表す “could”
“might” の「〜かもしれない」が話し手の漠然とした推量を表すのに対して、“could” の「〜かもしれない」はあり得る・ひょっとしたら可能性があるというニュアンスになります。
- It could be true.
「それは本当かもしれないね(その可能性はあり得るね)」 - He could come to the party.
「彼はパーティーに来るかもしれない(来る可能性はある)」 - She could be in her office this afternoon.
「彼女は今日の午後オフィスにいるかもしれない(いる可能性はある)」
2. 控えめな提案の “could”
「〜したらどうですか」や「〜しましょうか」という提案でも使われます。今はしていないけれど、こんなこともできますよ、というとっても控えめな言い回しなので、相手に負担をかけずにさらりと提案することができます。
- Do you want to come? Or I could come to your house instead.
「ウチにくる?それとも君の家に行こうか?」 - We could postpone the meeting until next Monday.
「会議は次の月曜日に延期しましょうか」 - We don't sell newspapers, but you could go to the store around the corner.
「当店では新聞は販売していませんが、角のお店に行ってみてはいかがですか」
3. ものの例えを表す “could”
<仮定法>という用法を学校で教わりましたが、現実にはありえないことをちょっと大袈裟に表現する場合には、“if” を使わずに “could” だけで表すこともあります。
- The girls have been talking all day. They could talk forever.
「彼女たち一日中しゃべってるよ。彼女らはずーっとしゃべっていられるね」 - I’m exhausted. I could sleep for a week.
「すっごく疲れた。一週間寝られるね」 - I’m so hungry. I could eat 100 pieces of sushi.
「めっちゃお腹空いた。寿司100個はいけるね」
「(実際にはしなかったけど)〜することもできた」の “could have + 過去分詞”
「〜だったかもしれない」だけでなく「(実際にはしなかったけど)〜することもできた」を表すのが “could have + 過去分詞” です。
- His story could have been true.
「彼の話は本当だったのかもしれない」 - That was a terrible accident. But it could have been worse.
「あれはひどい事故だったね。でももっとひどくなり得ていたかもしれない(= 不幸中の幸いだった)」 - Did you take a taxi to the airport? You could have called me.
「空港までタクシーで行ったの?電話してくれたらよかったのに」 - I could have asked for help, but decided not to.
「助けを求めることもできたけど、それはしないと決めたんだ」
3. “would” は「〜だろう」

“Would you 〜?” や “Would you like 〜?” の疑問形はなじみがあるものの、肯定文での “would” の使い方が分からない方もいるかもしれません。でも、“would” は会話でとてもよく使われる助詞。ぜひマスターしましょう。
まず、“would” が “will” の過去形として会話でよく登場するのは、誰かが “I will 〜” と話したことを後で他の人に伝えるときです。
- John said he would call you later.
「ジョンがあとで君に電話するって言ってたよ」 - She said she would come to the party on Saturday.
「彼女は土曜日のパーティー来るって言ってたよ」
ここまでは比較的理解しやすいですが、過去を表す場合以外にもネイティブは会話で “would” を多用するんです。
会話中の “would” は「想像の話・たとえ話」
会話の中で使う “would” のポイントは、簡単に言えば「想像の話」「たとえ話」です。
「〜だろうなぁ」と想像で話す場合や「もし……だったら〜するだろう」と例えで話す場合に “would” が使われます。
《例1》
例えば、あるイタリアンレストランに初めて行くことになり、何が食べたいか前もって友だちに聞きたいときには、こんなフレーズが使えます。
A:What would you order at the Italian restaurant?
「君だったらあのイタリアンレストランで何をオーダーする?」B:I would order a Margherita pizza.
「私だったらマルゲリータピザを頼むだろうなぁ」
実際に友だちが店でオーダーするのではなく「もし注文するとしたら」というたとえ話なので、“do you” でも “will you” でもない “would you” がしっくりくるのです。
もう一つ例を挙げてみましょう。
《例2》
あなたはパーティーに行くかどうか悩んでいます。友だちに相談したところ「私だったら行くなぁ」と言われました。これも “would” を使う典型的なパターンです。
A:I wonder if I should go to the party.
「パーティーに行くべきかどうか迷ってるんだ」
B:I would go (if I were you).
「私だったら行くなぁ」
こんなにシンプルに表せてしまいます。
「私だったら(=if I were you)」をわざわざ言わなくても、“I would go.” だけで「私だったら行くだろう」というニュアンスを表すことができます。
「〜しただろう」は “would have + 過去分詞”
過去のことを想像した「〜しただろう」や「もし……だったら〜しただろう」を表すには、やはり過去分詞を使い “would have + 過去分詞” となります。
例えば、ニュースに出てきそうなこんなシチュエーション。
川で溺れかけている人がいて、そこを偶然通りかかった人が自身の危険を顧みず川に飛び込み救助したとき。こんなヒーロー的なセリフを聞いたことがあるのではないでしょうか。
- Anyone else would have done the same.
「他の誰でもきっと同じことをしただろう」
これも想像の話なので “would” が使われるのですが、過去に対しての「〜しただろう」という想像なので “would have” になります。
もう一つ例文を。先ほどの、初めて行くイタリアンレストランの話に戻してみましょう。
あなたはレストランに行ってパスタを食べたとします。それを後日友だちに話すと「あそこのパスタ美味しくないんだよね」と言われました。あなた自身もそう思ったとしたら、こんなふうに返すことができます。
- If I had known that, I wouldn't have ordered.
「それを知っていたら注文しなかったのに……」
“wouldn't (= would not)” と否定形になっていますが「注文しなかっただろう」という過去の話なので過去完了形になります。
さいごに
私は今ニュージーランドに住んでいますが、暮らし始めた頃は、恥ずかしながら “might” も “could” も “would” もちんぷんかんぷんでした。どこでどう使うのか、場面がイメージできなかったためです。
それでも、ネイティブとの会話で相手の発言を注意して聞いていると「あ!ここでこうやって使うんだ!」と少しずつわかるように。頭で文法を理解するだけではなく、実際に使われている文章にふれることが大切だと思います。
何となくわかるようになってきたら、会話の中でどんどん使ってみましょう。そうすると、表現の幅もきっと広がっていくはずですよ!
【細かな文法まできちんとマスター!】